2011年01月07日

イブラヒムおじさんとコーランの花たち(2003)



監督:
フランソワ・デュペイロン

出演:
オマー・シャリフ
ピエール・ブーランジェ


1960年代のパリ。ブルー通りのアパルトマンでモモ(ピエール・ブーランジェ)は自分を愛してくれない父と共に生活をしていた。
モモは家の向かいで食料品店をしているイブラヒム(オマー・シャリフ)と交流を重ね、父からは得ることのできない愛情を受け、心を通わす。

端的なストーリーは以上の通りである、もっと詳しいストーリーを知りたい方は他の紹介記事を読む事を薦める。
但し自分が呼んだ限りでは、内容に触れすぎていてクライマックス以外はわかってしまう感じの記事が多かったのでご注意を。

誰からも愛情を教えてもらえず青春期を迎えているモモは初体験を済まし早く大人になりたいと精一杯の背伸びをしている。
母親はモモが生まれてすぐに出て行き、モモは母の愛を知らない。父はモモの事を愛さず、会った事もない兄ポポルと比べ小言を言う毎日。

両親から愛をもらえないのであれば、最初から両親などいなければどんなによかっただろうか。
残酷にもモモには父親がいる。例え愛してもらえない父であっても自分から父に愛を注いでもらいたがるのはあたりまえだ。

だが、父は自分を愛してくれない。

少しでも立派になれば多少は見向きをしてくれるかもしれないといった思い、その反面大人になれば精神的に父親から開放されるといった思い、自分を愛してくれない父親なんてどうだっていいという思い。
わずか13歳のモモが通りに立ち並ぶ娼婦達との初体験に興味をもったのにはそういった色々な思いが入り混じっていたのではないだろうか。

イブラヒムはそんなモモを気にかけていた。
自分の店で万引きをされても優しくさりげなく諭すイブラヒム。
彼は終始モモに愛情を注いでいた。

「笑ってごらん、幸せになれるから」

愛も宗教も信じれずお金がある事が幸せであり、笑顔の理由だと考えるモモに対し、イブラヒムは「幸せだから笑顔ではなく、笑顔だから幸せなんだ」と説く。
モモが失恋をした時にイブラヒムはとても素敵な言葉でモモを慰める。
この台詞は本当に素晴らしい台詞である。

そんなイブラヒムにモモは惹かれていく。
イブラヒムはコーランの教えに従って生きていて、コーランに書かれていることしか知らないと言う。
だがモモにコーランを読むことを強要する事はない。自分の体験から学べと言う。
縛り付けることがなく、優しい笑顔で自分の事を見てくれるイブラヒム。モモはいつしかイブラヒムと世代の差の友情以上の関係になりたがる。

モモが自分の名前をモハメッドと名乗るシーンがある。この時のシーンはこの作品の一番の見所ではないだろうか。

自分が教えらたれた事を次の世代に教える。そういった素晴らしい事をこの映画は教えてくれる。
当たり前の事の様に思えるが、世の中には自分の子供をまともに育てられない親が沢山いる。
そんな当たり前の事をイブラヒムは笑顔で教えてくれる。
posted by 安楽座八十助 at 12:48| 映画K | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月24日

25時/25th Hour(2004)



監督:
スパイク・リー

出演:
エドワード・ノートン
フィリップ・シーモア・ホフマン
バリー・ペッパー


原作者であるデイヴィッド・ベニオフが映画の為に脚本を書き、彼のご指名によってスパイク・リーが監督として選ばれた。

ドラッグのディーラーをしているモンティ(エドワート・ノートン)は、密告により逮捕され、7年間の服役を言い渡される。
友人のフランク(バリー・ペッパー)、ジェイコブ(フィリップ・シーモア・ホフマン)、恋人のナチュレルは、服役をする前日に彼の為にパーティーを開く。
明日から服役する不安、密告したのは誰かという疑念、そして後悔をする様を9.11後のニューヨークを舞台に映し出している。

以上が端的なストーリーである。

監督がスパイク・リーである事、そして9.11以後のニューヨークを舞台とした背景などを考えずにこの映画を観た場合
フランクやジェイコブのモンティに対する友情に涙し、モンティの父親の愛情とも取れる言動に心を打たれる。
作品を観て、後味が悪くなり観たこと自体後悔する人もいると思う。

映画の感想なんて見る人が100人いれば100通りあり、解釈だって100通りある。
25時を観てどういった解釈をするかなんて千差万別である。

だが、せっかく映画を観るのだから、一般的に言われている有名な解釈を考えながら観てもらいたい。
そう考えながら観た方がもっともっと映画を楽しめ、好きになると思う。

25時のレビューは多々あるが、中でもマトモにレビューをしている方々は皆モンティはアメリカの国そのものだと解釈している。

モンティはアメリカであり、服役する事はアメリカという国の崩壊である。
人々を不幸にする麻薬によって大金を手にしていたモンティはイスラム圏にて利益を得ていたアメリカの政権である。
そして仲間に密告をされたモンティは自業自得により9.11のテロの被害にあったアメリカである。

そのような視点から映画を観ると、マンションから9.11の跡地を見下ろすシーンや9.11の映像が流れたりなど要所要所でアメリカに対して突きつけられた現実が映し出されている。

フランクとジェイコブはモンティがこうなる前に止めてやれなかった事を後悔する。
どうしてアメリカがこうなるまで誰も止めることができなかったのか。そうスパイク・リーが叫んでいる様であった。

モンティの25時間はアメリカが崩壊するまでのカウントダウンなのではないだろうか。
スパイク・リー監督はこの映画を通してアメリカ社会に対し警鐘を鳴らしたのだ。


posted by 安楽座八十助 at 00:50| 映画K | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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